SOUL JAZZ (LP) - GEORGES ARVANITAS QUINTET
SOUL JAZZ (LP) - GEORGES ARVANITAS QUINTET
ジョルジュ・アルヴァニタス・クインテット
Release Date : 11/18/2011
Product Number : FPX193
Recording : 1960
Format : LP 12inch
五臓六腑に叩きつけられる、ファンキー・ジャズ!忘れかけられていた、熱きバップ魂が再び燃え上がる……。アルヴァニタスの最高傑作・遂に覚醒!
~ライナーノーツ ※抜粋~
こう言ってはなんだが、これは一種のカバー作品集である。演奏されている曲にはそれぞれに決定的な演奏が既に存在している。そして、このレコードを楽しむためには、ともあれ収録曲の「原典」に接しておく必要があると思う。そうしないと、その「捨て難さ」が分からないからだ。はじめてこれらの演奏を聴く人が、それに魅了されることは十分にあり得る。しかし、私 は ”BEMUSHA SWING” な ら リヴァーサイド 盤 の “ BRILLIANT CORNERS”、”BOHEMIA AFTER DARK”なら同名のサヴォイ盤かプログレッシヴ盤の“AT THE BOHEMIA”、”THIS HERE”は言わずもがな、キャノンボールのリヴァーサイド盤”IN SAN FRANCISCO”も併せて聴くべきだと思う。それらを聴いてこそ、このアルバムの成り立ちの意味に思い至れるはずだ。
すでに”3AM”、”COCKTAIL FOR THREE”という二枚のアルバム(ともに澤野工房が復刻ずみ)で、本場アメリカの名手たちと共演し、腕に覚えのアルヴァニタスが中心になり、当時一番カッコ良かった音楽に挑戦した・・・それがアルバム”SOUL JAZZ”なのだ。
実際、誰でも考えるはずだ。「おっ、メッセンジャーズやってる」。ひとりこのアルバムだけではない。北欧のJAZZ QUINTET60 も、日本の白木秀雄クィンテットも、同時代の者たちはこぞって「メッセンジャーズやって」たのだ。メッセンジャーズ恐るべし、侮るなかれアート・ブレイキー。おそらく、その伝播力、影響力は当時のマイルズの比ではなかった。
SOULという単語にも(憶測だが)一言しよう。現在、我々が「ソウル」という言葉を音楽に冠する場合、それはいわゆる「黒っぽい」イメージである。「ジャズ」にくっつけるなら、それはかなり「いなたい」雰囲気でもあるだろう。ジミー・スミスのオルガン、グラント・グリーンのギター。それは教会でのコングリゲイションに直結するベクトルを持つゆえ、「魂(ソウル)」なのだろう。そう考えると、ここで聴かれる演奏は殊更黒っぽくはない(そりゃそうだ。白人、それもフランス人ばかりで演奏してるんだから)。なのにどうして「ソウル」なのか?思うに、これはFUNKYでもEARTHYでも良かった。しかし、同じような内容を表現しようとするときに、まだ目新しい言葉を使いたい、という欲求は、キャッチ・コピー的な発想からしても当然のことだ。今となっては一般名詞に近いが、少なくともこの当時、思い切りSOUL JAZZとやったのはこのアルバム・タイトルを嚆矢とする、はずだ。したがって、タイトルの本意はまたも「メッセンジャーズのような演奏」ではないだろうか。それを若気の至りで名付けてみたのが、1960年の「ソウル」ジャズ、であった。先にも言ったが、憶測、ですよ。
さて、この演奏、皆さんの耳にはどう響くのであろうか?個人的に言ってしまうなら、これは決して圧倒的な演奏と言うわけではない。「本家」たちの演奏の持つずばぬけたオリジナリティや迫力をそこに求めるのは間違いですらあると思う。
Text by 北見 柊
Georges Arvanitas : piano
Francois Jeanneau : tenor sax
Bernard Vitet : bugle
Michel Gaudry : bass
Daniel Humair : drums
TRACKLIST