MY ROMANCE - THOMAS FINK TRIO

ふと気が付くと、そばに優しく寄り添うように流れるメロディ。素敵な毎日をさらに彩る、ドイツのピアニストからの贈り物。決して押しつけがましくない優しいタッチから生まれるソフトな音色。“小粋なピアノ”をあなたに。

音楽は何の為に存在するのか？どうして音楽を聴きたいと思うのだろう？時々ふとそんな自問が浮かんでくる。ただ僕の場合一つ言えるのは私生活で音楽を聴くという行為は決して「さぁ聴くぞ」といった構えたものではなく、「今この場に何か音楽が欲しいな」と思った瞬間にほとんど無意識に何か聴いているといった感じだ。車での移動中…仲間との時間……本や雑誌を読む時……料理を作りながら……晩酌をやりながら……と生活の中に気が付けば音楽は空気のように漂っている…だがそれは決して安っぽいBGMという意味では無く、それが在るからその場や時間がさらに素敵になるような格別な存在…いわば音楽は人生という映画に欠かせないサウンドトラックのようなものかも知れない。

そしてそういう理由から僕の音楽生活のすぐ手の届く場所には多くの澤野のCDが占拠しているが、新しく届けられたこの一枚も例外ではなく、いつもの一曲目を再生した時のあの「ホっとする」感じから、あっという間に一枚聴き終えてしまう澤野テイストは健在で、気が付けば暮らしの中に漂うように何度もリピート再生されている。

決して押しつけがましくない優しいタッチから生まれるソフトな音色。最小限の音数で歌うように爽快なフレーズ。そんなドイツの名も無きピアニスト＝トーマス・フィンクの“小粋なピアノ”は、またしても永く飽きることなく僕の生活を飾ってくれる一枚になりそうだ。