無知と恥の上塗りと言うが、このCDを前に告白しよう。
G・ラフィットについて、フランスの1950年代を代表するミュージシャンでありながら、
大編成でのソロに活躍の場を見出すスイング〜モダン系ミュージシャンに過ぎないと勝手に思い込んでいた。
肝心の「Paris Jazz Trio」の演奏は、1950年代中期に五枚のEPが仏Columbiaからリリースされたのみで、本邦ジャズ・ファンの間では欧州レアEPのコレクターといった筋金入りの超マニアだけがひっそりと慈しんできたという来歴もある。
今回こうして一枚のCDにまとめられた「Paris Jazz Trio」の演奏を聴きながら、嬉しくも自分の無知を思い知らされているところだ。
なんとハイセンスで、心浮き立つ演奏だろう。これぞ三分間芸術。パリのカフェで食後に飲むエスプレッソの潔さとでも言おうか。
さっと一口飲んで「じゃっ!」みたいに颯爽と出て行く時の格好良さに通じるかも。
このスタイルがナット・キング・コール、バディ・リッチを擁するレスター・ヤング・トリオ(Mercury盤収録の永遠不滅の四曲)にルーツがあるといった歴史的薀蓄や、シンプルであるが故、とんでもなく各プレイヤーにリズムセンス、歌心を問うなんて技術的解説は野暮というもの。
インサートをめくり、大人になった「地下鉄のザジ」みたいにキュートなEPのアートワークを愛でながら、パリの情緒とジャズの香りが凝縮されたこのエスプレッソをどうぞご賞味あれ。
Text by 羽根智敬